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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

「それで、みなさん、すぐ食堂へ戻られましたか」

「私はついでに用をたして戻りましたが、一馬も巨勢博士も、たぶん、そうだったようだね」

私がこう言うと、一馬と巨勢博士はうなずいた。

「三人御一緒に食堂へ戻りましたか」

「一緒に戻る理由も別にありませんからな、別々に戻ったようです」

「奥様と矢代夫人は、先に、一緒に戻られましたか」

「ちょッと調理場をのぞいたり、女中に言葉をかけたりなぞ致しましたけれど、私どもも別に一緒ということを意識致してはおりませんので、京子様が先でしたかも知れません」

「でも殆ど御一緒のようでしたわ。私も坪平のオカミサンに話しかけたりして、ちょッと調理場を眺めていたりしましたから。別になんという理由もなかったのですけれど」

警部は大きくうなずいた。

「そのとき調理場にはコーヒーの用意ができておりましたか」

「用意はできておりました」

あやかさんは決然たる視線でハッキリ警部を見つめて言った。然し声は、決意にも拘らず、さすがに自然に低かった。

「私たちが戻りますとき、ちょうどコーヒーのお茶碗が広間のそこのテーブルの上に並べられているところでした」

「お茶碗にはコーヒーがつがれていたのですか」