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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
あなた方も疑心暗鬼という奴ですな」
「宇津木秋子さんの姿が見えないのですがね、大人の迷い子は、よその土地じゃ笑い話だけど、ここのウチじゃア、穏かならぬ例ですからな」
「なるほど。いつから、お見えにならないのですか」
「朝の九時ごろ、自分の部屋で仕事中の秋子さんを胡蝶さんが見たというのが、唯一の消息なんですよ。私と土居画伯と巨勢博士はもっぱら撞球の熱戦中でして、他の方々は、一馬さん、丹後さんはF町へ、三宅さん、京子さん、木曾乃はN町へ、矢代さんは?」
「私はあやかさんと鉱泉宿へ。九時ごろ出かけましたよ」
「結局みんな出払ってるんですな。私たち撞球組は有って無きが如きものですからな。いったい、いつごろ、どこへ、おでかけかな」
そのとき、ツボ平のオカミサンが、
「私は九時半か十時ころ、宇津木さまがおでかけのところをお見かけ致しましたよ」
「どこで」
「この広間でございます。ああ、そうそう、ちょッと、調理場でお水をおのみになりましてね、おでかけですか、とお訊きしますと、ええ、ちょッと、散歩よ、と仰言いました。そして、お草履のまま、食堂の方から外へ出て行かれましたようです」