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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

と私が一馬にきくと、乗っていなかったという。N町発の終発にも乗っていなかったそうだ。

「N町からの終発には海老塚さんが乗ってらしたわ。今日は日曜で休診なんですわね。町で諸井さんもお見かけしたけど、終発には、御一緒でなかったのよ」と、京子が私に言った。

「丹後は碁会へ行かずに、F町まで、のしたのかい」と私がきくと、

「ああ、君たちのおかげで、鉱泉宿へも行くわけに行かなくなったからさ」

胡蝶さんが不審顔で、

「宇津木さん、どうなさったのでしょう。私たち、今日は、この村の青年会と処女会の方々に、講演と実演の会で、午前中は人見が講演して、午後は私がメーキアップやら、実演してきたのですけど、私どもが朝九時ころここを出るころは、宇津木さんはお部屋でお仕事していらしたわ。疲れて、おヒルネでも、してらっしゃるのかしら。私、見てきますわ」

と、胡蝶さんは出て行ったが、部屋には書きかけの原稿があるばかり、姿は見えないということであった。

食事を終ったころ、カングリ警部がぶらりとやってきたから、

「警部さん、又、事件かも知れませんよ」と、神山東洋が云った。

「なんですか。脅かしちゃ、いけませんよ。