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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

ます」

と、八百屋みたいにクダケて出るところ、却々もって我々をあしらうコツを心得たものである。

「先ず順序と致しまして、三宅さんにお訊ね致しますが、昨日はズッとN町へ行っておられたそうですね」

木ベエはうなずいて、

「僕はその前の日にツボ平のオカミさんにたのんで、朝食を早目にしてもらい、七時半前に出発しました。一番バスででかけて、終発で帰ってきたのです」

「その日、奥さんに何か変った様子をお気づきになりませんでしたか」

「僕から見れば、あの女は、しょっちゅう変った様子ですよ。当家へきても部屋は別居しておりますし、つまり、事実上、我々は別離状態にあるわけです。あいつが僕を黙殺して、平然と王仁とあの状態であったことは皆さん御存じの通りですし、だいたい、あの女は、男の肉体なしに三日と生きていられない奴でしたから、あとは皆さんの御想像にまかせますよ。僕とても想像以外に事実を確認しているわけではありませんが、僕と事実上夫婦でないということは、つまり、あの女がほかの男と情交がある明白な証拠みたいなものなんですね」

「すると日常も奥さんと御交際がなかったのですか」

「それはもう、全然、他人よりも疎遠ですよ。