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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

同一の犯人による一貫した計画殺人であるか。前者の場合は、先ず、常識上、不可能ですな。テンデンバラバラに殺し合う、そんなことは、先ず、いかに芸術家の異常世界に於きましても、いささか不可能なことですな。それはまったく、文学者は、大概、大犯罪者ですよ。いわゆる探偵小説の流儀によりますと、大探偵は大犯罪者の表と裏だと申しますが、そうじゃないようですな。小説をつくる文学者は、大犯罪者の裏と表ですが、探偵は違いますよ。探偵は、つくる人ではなく、見つける人だからですよ。矢代先生の御説によると、巨勢博士は小説の書けない方だから、大探偵の素質があるのだそうですが、まさしく、それが真理ですよ。そしてですな、それが真理であるということは、逆に、文士の皆様方は、たいがい、大犯罪者の素質をもっておられる、という意味でもあります。ただし、これは、弁護士にも当てはまります。これ又、皆様方には比べようもありませんが、ともかく、これも、人間関係をつくりだす商売ですからな。然し、我々が平凡なのに比べると、先生方は天才的であらせられる。平凡な我々は、犯罪者と同時に探偵的才能もあるわけですが、天才的な先生方は全然探偵の能力なしに、徹底的に、ただもう、大犯罪者の素質だけをお持ちなのですな」