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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

神山は、気の弱そうな笑いと、嘲弄するような笑いと、いつも二つを同時に含めているような笑い顔をする奴であった。

「この七ツの事件を、同一犯人の一貫した計画殺人と見る場合には、しからば、何故、犯人はレンラクのないバラバラ事件を構成したか、ということが問題になりますが、これがつまり、犯人の狙いなんですよ。真の動機をくらますためですよ。この犯行のどの一つかが、あるいは、いくつかが、犯人の真に目的とする犯罪であり、他の犯罪は、その目的をごまかすための細工にすぎない犯罪ですよ。なぜ、そのような細工が必要か。なぜならば、動機が分ると忽ち犯人が分ってしまうからですよ」

と、神山東洋は、巨勢博士と同じことを言いだした。

「動機は何だい?」

と私がきいてやったら、

「さて、その動機の問題ですがね」

と、又、変な含み笑いをした。

「なにぶん天下の大犯罪者が一堂に会しておられるのだから、ヤツガレ如きが動機を云々する手はありませんよ。最も動機の明白なるもの、必ずしも、犯人の真の動機とは限らず、最も利害の大なるもの明白なるもの、必ずしも、犯人の真の目的にあらず、ですかな。巨勢博士、いかがですか」