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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
オセッカイな弥次馬である。然し、奴、悪漢だけのことはあって、見る目はさすがに油断のならぬところがある。
事件の性質を知らない亭主は、刑事が調べにきたものだから、私を犯人みたいに気味悪く思っている様子であったが、まったく、こうなると、私自身も、テンカンの発作かなにかで、知らないうちに自分が人殺しをやらかしているような、変テコな幻想にも落ちかねない始末である。仕事どころの話じゃない。犯人は誰だろうなどと、そんなことばかり、自然にとりとめもなく考えて、一字も書くことができないのだ。
神山東洋はその日はとうとう帰らなかった。その翌日の夕食になっても、まだ戻ってこない。我々が夕食の食卓についたところへ、海老塚医師が、蒼ざめた顔に目をギラつかせて、ヌッと姿を現した。
彼はコツコツ、ビッコの跫音をひびかせながら、食卓を半分廻って、ちょうど私の正面へ廻った。そこには木ベエがいるのである。
「偽善者! 三宅木ベエ!」
海老塚医師は大喝一声、右腕をハッシと突きだして、木ベエの横顔を突き刺すように、指さした。まるで野球の審判員のような大袈裟な身振りだが、もっと満身の気魄がこもって、まるで槍術の構えのようだ。