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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

顔色も変らない。変りようもないのである。蒼ざめて、ゆがみ、彼はうつむいて、人の話も、きこえない如くであった。

丹後が皮肉いっぱいに、

「神山君、たのまれもしないのに、岡ッ引きが、そんなに面白いかね」

神山東洋、ビクともせずに、

「アッハッハ。これだけ矢つぎばやの殺人事件のマンナカに暮しながら、ちょッと探偵心を起さなきゃア、その方が、よっぽど、変テコリンだと思いますがね」

その晩、私たちが寝ようとすると、八丁鼻と南川友一郎巡査が二階の両端の階段の降り口のところへガンバッている。これは昨夜から、カングリ警部の命令で、こうなったのである。

一馬が八丁鼻に、

「ヤア、御苦労さまです。でも、もう、いいのじゃないかな」

「ハア、何ですか」

「いえ。海老塚さんは、留置されているのでしょう」

「ええ、そうです」

「こんなに警戒して下さらなくとも、もう、よかろうと思いますが」

「ハア、ともかく警部の命令で、八月九日までは、こう致すことになっております」

一馬は海老塚が捕えられたので、どうやら一安心の様子であった。

二十二 「八月九日 宿命の日」

八月八日の夜になっても、巨勢博士は戻ってこない。