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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

ピカ一は平然として、質問一つしようとしない。バカなことは相手にならぬという様子である。当然ここに、巨勢博士の最後の仕上げ、挑戦、攻撃がなければならぬ筈である。そして、まさしく巨勢博士は、変りばえのない声で、淡々と最後の挑戦をきりだした。

「私は東京へ行きました。あやか夫人は結婚後、月に一度又は二度必ず上京される習いでした。上京は常に一馬先生も一しょでしたが、上京中の行動は必ずしも一しょではありません。土居先生とあやか夫人は文書で往復することは危険ですから、必ずどこかで会っておられる筈であります。これだけメンミツな計画犯罪を行うためには、事前にあらゆる事情に通じて、かつ、それを骨子にメンミツな打ち合せをとげる必要があり、幾度かの会合と打ち合せをとげることが必要であります。したがって、あやか夫人の上京のたび、必ずどこかで二人は会見せられておる筈であります。上京中の一馬先生御夫妻の宿はツボ平氏の家でありますから、私はそれとなくツボ平御夫妻からききだしましたが、あやか夫人は単独で出かけられてもその夜のうちには必ず帰ってこられたという、一度も一人で出かけられて泊ってこられたことはなかったという話でした。