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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

珠緒さんは平気であった。存分接吻して顔を上げて、

「どう? ピカ一さん。あしたの晩はあなたにこうしてあげるわね。そのとき顫えちゃダメですよ。私は顫える男は嫌いなのよ。ねえ、タンゴさん、タンゴを踊りましょう」

丹後は首をふった。然し首をふりかけたとき、珠緒さんは目もくれず、もう内海の方へ歩いていたから、取りすまして首をふる丹後の首がオモチャの人形みたいであった。

「さア、内海さん。あなただって、たまにはフットライトを浴びなきゃいけないわ。片隅にひっこんで、いじけずに、堂々と、圧倒しちゃうのよ」

内海は人の好い微笑をうかべて、

「僕がフットライトを浴びるのは、ノートルダムの主演の時だけさ。その節は共演をたのむぜ」

「あら、そう。すばらしいことね。この夏、ここでやりましょうよ。人見さん、手頃に脚本書いてちょうだい」

「よろしい。オレが舞台装置をやる。村の衆に興行して、百姓どもの新円をまきあげてやろう」

「ピカ一の舞台装置じゃ百姓のお客は逃げ出すさ。芝居なんざ、止すがいい。これだけ女優が揃っているから、エロダンス、外に何があるものか。ザッと、この通り」

王仁はいきなり珠緒を抱きかかえて、ひったくるようにツーピースをぬがせた。