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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

誰かそんなことを言ってきたのかい」

「わけが分らないな。君の手紙に巨勢博士をつれてきてくれと書いてあるからさ」

「僕の手紙に?」彼は呆気にとられて私を見つめた。

「そんなこと、書きやしない。僕は君たちお二人だけ来てくれと書いた筈だ。いや、分る。カラクリは分っているのだ。君に宛てた手紙だけじゃアないんだからな。きいてくれ。実に、何たることだ。どいつが、いったい。僕はもう怒り狂っているのだ。然し、まったく、何者のイタズラだろう。僕は君、神山東洋夫妻だの、まして、土居光一に、あいつらに招待状を発する筈がないじゃないか。しかも奴らは招待状を受けとっている。おまけにちゃんと、君と同様ツーリストビュロオの使いの者が切符をとどけているのだからな。僕はたしかにツーリストビュロオに切符を届けるように手配の手紙を出してはいる。然し、それは、君たち御夫婦二人だけだ。巨勢博士だって、頼みやしない」

今度は私が呆気にとられる番であった。私は彼の手紙を全然疑ぐっていなかった。たしかに見なれた彼の筆蹟だったのだ。

私は然し、幸い巨勢博士を訪ねたとき彼に見せるためにポケットに入れた手紙をそのまま持ってここへ来ていた。