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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

「まア、いいさ。幸い、あした巨勢博士が来るから、誂え向きじゃないか。尤も手紙の犯人が自分で指名しているのだからな。なぜ巨勢博士を呼びやがったかな。この犯人め、巨勢博士を嘗めているなら、大失敗だよ。あいつは全く、その道では、天才なんだから。つまり中途半端な頭なんだよ。犯人を探すに手頃で、それ以上はダメ、そして、それ以上へ行かない組織になってるところが、恐らく異例の才能なんだな」

「じゃア、又、あした」

「そうしたまえ。我々が犯罪をつき廻したって、迷路をさまよい、やたらに犯人を製造するばかりさ。全くもって、小説家にとっちゃ、犯人ならぬ人間は有り得ないから、考えてみたって、全然ムダだ」

一馬は自室へ戻って行った。

どの部屋からも、もう物音がなくなっている。

「なんだか気味が悪いわ。私、怖しくなってきたわ。ほんとに何か、怖しいことが起るんじゃないかしら」

「どんな怖しいことが?」

「どんなって、分りゃしないけど。でも、何か、ほんとに起りそうじゃないの」

「そうかな。娼婦宿の犯罪事件か。ピカ一め。娼婦宿とは。然し、まったく、ひどい話さ」

「私、きょう、加代子さんとお話したのよ。