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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

まだ、ほんの御挨拶程度のお話だけですけれど、ね。たぶん、予想以上だわ。ほんとうに兄さんを思いつめているようすよ。罪は人間が作ったものですって。人間が勝手にこしらえた観念ですって。自然のままの人間にどこにも罪なんか有る筈がないんだってね、そんなことを私に仰言ったわ」

「恥があるから、罪もあるんだろう」

「あなたの屁理窟なんか、加代子さんの悩みの垢みたいなものよ」

「分った、分った。諸嬢の悩みは深遠そのものだ。さア、ねよう。然しねられるかな」

私は昼寝しすぎたのだ。けれども、ねむくなってきた。

そのとき、廊下を、私の知らない何かフランス語のシャンソンらしいものを唄って、珠緒さんが通りすぎた。階段へかかると、だんだん大声にそしてバタバタ駈け降りて行った。

「やれやれ、珠緒太夫の御帰還か」

時計を見たら、十一時十五分。私は電燈を消した。

附記 この探偵小説には私が懸賞をだします。犯人を推定した最も優秀な答案に、この小説の解決篇の原稿料を呈上します。細目はいずれ、誌上に発表しますが、だいたい、九回か十回連載の予定、大いに皆さんと知慧くらべをやりましょう。当らなければ、原稿料は差上げませんよ。