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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
犯人さがしに内輪もめをするよりも、無罪歎願書の相談でもするのが我々の偽らざる心でしょう」私がそう言うと、海老塚が、
「百鬼夜行。あたりまえだ」
そう呟いて立上った。私は彼と並んでいたから、私の耳には、その呟きがきこえた。彼が立ち上って去ろうとするから、
「海老塚さん。調べがすむまで、我々が動いちゃいけないでしょう」
「私は有閑人種じゃないです。患者がつめかけてきています。おんぶされて、未明から三里も山道を歩いたり、ね。殺人なんか。遊戯の果にすぎんです。百姓どもの命なんて虫けらに毛の生えたようなものでも、虫けらよりは貴重ですから。虫けら共の人殺されだ。さよなら。皆さん」
「気どり屋、伊達者、名医先生」ピカ一が後姿へ蛮声をあびせた。
「せっかく患者殺しに精をだすんだな。あんたの目玉の色は精神病院で見かけたぜ。気違いに脈をとらせて、山の奴らはノンキなもんだな」
駐在の巡査が駈けつけた。この南川友一郎巡査は探偵小説は愛読しているがほんものの事件にめぐり合ったのが始めてだから、全身緊張そのものにハリキッて、いと物々しく現場の扉にペッタリと封印の紙をはりつける。一同に向って現場を乱さないように心得をおごそかに申し渡して本署へ電話で連絡する。