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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

そして、誰かが鍵をかけたことにも気がつくように。私もきた、然し、私のほかに鍵をかけ得るどなたかも来た。そのどなたかは王仁さんだけが御存知でしょう。私のダンヒルはその抗議を語るために置き残されてきたのでした」

「嘘です! 大嘘。私が今朝王仁さんの屍体を発見したとき、ドアの鍵はかかっていません。現に鍵を持たない私が、あの部屋へはいって屍体を発見したではありませんか」

「はてさて。ややこしくなりましたな。いったい、このウチは、各々の部屋の鍵が共通ですか」

「いいえ、各々違っています。然し、内からも外からも一つで間に合う鍵なんです」

「すると、望月さんの鍵は宇津木さんが持っていらっしゃる。そのほかにあの部屋の鍵をかけたり外したりできるのはどなたでしょう。同じ鍵を持ってる方は?」

「そうですね。三ツずつ同じ鍵をつくらせたのです。一つは皆さんにお渡ししてありますし、一つは、まとめて、隣の広間のデスクのヒキダシにほうりこんである筈です。もう一束は、たしか金庫にある筈です」

「そのヒキダシを。おい、八丁鼻、ひとつ、君、たしかめてきたまえ」

一馬と八丁鼻はたしかめに去ったが、ヒキダシの鍵は一束全部、紛失していた。