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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

海老塚がムッと顔をあげて、

「バカな。ヨッパライの介抱に医学者が往診するなんて、女王様だってありゃせん。さがれ」凄い見幕だった。

「琴路さんに願いなさい」

「ハイ」

琴路というのは看護婦の名だ。三十分程して再び女中がきて、お嬢さまはスヤスヤおやすみになりました、と報告した。そのとき、十時五分。そこへピカ一が戻ってきたから、それをキッカケに、さア、寝ようぜ、とみんな立ち上る。

「なんだい。俺が来たからって、逃げなくともよかろう。さア、行った、行った。オレは静かに一人で傾ける。あつらえ向きだな」

それを聞きすてて私たちは各々の部屋へひきあげたが、するとセト物だか酒瓶だか荒々しく割れる音がする、扉をあけて下の気配をうかがうと、あやかさんが血相変えて逃げてきた。

「どうしたのですか?」

「ええ、アイツ私があと片づけしていたら、いきなり」

立ちどまって、フラフラして、気をとり直して自分の部屋へスタスタ廊下を走って行った。そのとき、部屋靴の鈴の音が耳についた。私は八丁鼻刑事の言葉を思いだして、なんとなく不安になった。

私は巨勢博士の部屋を叩いた。

「どうだい。目星はついたかい?」