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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
それも今日は不機嫌に、押しだまってグイグイ呷っていたから、相当目つきも変っていた。
「今日はウンと飲んでやるわ」
「もう止しなさいな、珠緒さん。あとで、吐いたり、苦しむから」
と、あやかさんが言う。胡蝶さんも口を添えて、
「本当よ、珠緒さん。そんなに飲んじゃ、毒だわ。もうよしなさいね」
「ええ、でもよ。もう、ちょッとだけ、飲まして。だって、私ね。こうして、黙って飲んでいるとね、幻が見えてくるのよ。王仁さんが殺されている幻が。ハッキリとよ。一人の女の人が短刀をふり下すときの表情まで、実に歴々と見えるのよ。たしかに鬼の顔よ。ヤキモチの鬼の顔」
「よしましょう、そんな話。今日はもう、やすみましょう」
「ええ、ごめんなさい」
珠緒さんはあやかさんの手をとって、やがて、シクシク泣きだした。このアニヨメと珠緒さんは気持がシックリいくらしいが、秋子さんがアニヨメのころは事々に衝突、そのころから犬猿の仲であった。
泣きだした珠緒さんを抱くようにして、あやかさんが連れ去る。十分ほどして戻ってくると、追っかけて女中がやってきて、
「奥様、お嬢さまはゲロはいて、苦しみなすっていますが、海老塚さまに」