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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

だけどゲンノショウコの電気コンロは扉に近い隅のところですし、私たちが騒いでいたのは窓のところで離れているのですもの、あっちの隅には用がないから、誰も近づきやしませんわ。あっちの方にはあやか様が肉パイをこしらえていらしただけ、ゲンノショウコの香りがお嫌いだからブツブツこぼしていらしたわね」

「ええ、私コウヤクだの煎じ薬だの古風なものは大嫌い、イヤな匂い、マッコーくさいんですもの」

「あの日じゃないの、窓の外でピカ一さんが大蛇をつかまえたのは」

「大蛇?」

「一間ぐらいの青大将にすぎないのよ。ニワトリのんでる、腹をさいて晩メシのオカズを出してやるから庖丁もってこい、なんて、宇津木さんたら物好きね、あんなもの見に行らっしゃるのだもの、私は蛇きらい、見るのもイヤだというのに」

「私は蛇、怖いけれど、怖いもの見たさ、惹きつけられるのよ」

「ツボ平さんたちもとびだして行ったわ。オヤジさんなんか、窓からとび降りて」

「珠緒さんは蛇を平気でつかんでブラ下げるね」

とセムシ詩人が言うと、千草さんは御機嫌ナナメの顔で、

「そうお、そんなんが好きなの。トランク一つブラ下げる力もないセムシさんが。