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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

「マア、失敬な!」

アタピン女史、柳眉を逆だてて、

「何ですか、あなた方は。分ってますよ。ここへきている男も女も、ロクな人間はいないのだから。文士だの女優だの、ホレタ、ハレタ、イヤらしい。年百年中オカミの手数を煩わして、アゲクの果に、このザマじゃないの」

「イヤ、ゴモットモ。御説の通りです。そこで、どうですか。さっそくアタマへピンスケと来ましたか。犯人はどこのドイツですか」

「おだまり」

「ヤア、失礼失礼」

行き過ぎようとすると、グイと手首をにぎって引きもどして、

「名乗りませんか。失礼な」

「まアさ。あなたのアタピンで私たちの名前ぐらいは当てて下さい。名乗りを脅迫するのは憲法違反だから、アッハッハ」

私はアタピン女史を怒らせておいて、逃げだした。

私が巨勢博士や一馬夫妻と、一馬の部屋に落着いて、ユックリ話し合うことのできたのは、午後三時。

王仁の遺骨を迎えに、彼の全集の出版元の社長と出版部長、若い社員と王仁の弟子が一人、午まえに到着したが、解剖した王仁の屍体がまだ本署から戻らない。戻り次第ダビに附すはずで、この村には隠坊はいるが火葬場はなく、野天へ薪をつんで焼く。