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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
まる一晩かかるのである。
私ども実務にうとい者の集りへ事務家が加わるとにわかに火のついた如く別天地の段どりが起って、王仁の遺骸を迎える部屋の支度、坊主の交渉、火葬場とのレンラク、どこからどうして来たのだか、ちゃんと黒幕などが運ばれてくる。またたくうちに表座敷に葬場らしいものが出来上ってしまった。
私は然し巨勢博士に秘密に話したいことがあった。ようやくその機会がきたので、
「実は君たちにだけ報告しておきたいことがあるんだが、私は昨夜、自分の部屋へ戻ったが、寝つかれないので散歩にでた。時間はハッキリしないが十一時ぐらいじゃなかったかな。京子はもう寝んでいたから、知らなかったと思うが」
「ええ、でもお帰りになったのはウスボンヤリ覚えているわ」
「食堂の戸口から出て、ブナの森へ行くつもりだったが、裏木戸まで行くと気が変って、庭へ廻った。池をまわって、中腹の夢殿のところへ行ったのだ。そこからアズマヤの方へ行くつもりで滝壺の上へでると、下に釣殿が見えて灯がもれている。そのとき一瞬チラリと闇へ消える女の姿が目にうつった。出て行くところは見ていなかったわけだが、たしかに釣殿から出て、御尊父の寝間の外をまわって勝手口の方へ帰る途中の姿だろうと思われるのです。