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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

京野家へも、時々顔を出すことを忘れなかつた。そして、家じゆうのものに馴れ親んだ。

ことに上の妹の多津は、かねてからの約束どおり、ある日、この少女を雲井秋生の下宿へ連れて行つた。いくらか見どころはあると元気をつけられた百瀬しのぶは、昼間の勤務を終ると、あとの時間を机に向い、夢中で、書いたり、読んだりの日課をつゞけるようになつた。

京野等志は、この百瀬しのぶを通じて、小萩の消息は、小萩からこの娘に送られる自筆らしい手紙によるほかはなかつたのである。そのことを、ある機会にたしかめると、百瀬しのぶは、笑いながら、自分への便りは、気楽に書けるからだろうといつて、その場をつくろつた。

彼は思いきつて、小萩に直接手紙を出してみることにした――

今はもう遠慮をしている時ではないと思い、勇気をふるつて、一筆したゝめます。

あなたの病状、容態は、雲をつかむようで、僕にはよくわからないが、いつたい、軽いのですか、重いのですか。楽観できる性質のものですか、それとも、よほど慎重に考えなければならないものですか? もうすぐ快復の見込はあるのですか。或は、長期療養を覚悟しなければならないのですか。