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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

陰でも、ほめてらつしやるんですつて……。でも、それで、あるひとに冷やかされちやつたわ」

「当り前さ、誰だつてそう思うよ。うちの多津なんぞ、すこしやき餅やいてるぞ」

と、彼は、ふと、この間、多津が口をすべらした、雲井秋生の少女趣味を思い出した。

「あら、そんなの変だわ、多津お姉さまは、れつきとした先生の愛人じやないの。それに、なんにもお書きになるつもり、ないしさ」

「書く書かないは別としてさ、雲井先生が、君なんかに特別の好意をもつてるとしたら、心穏かでないだろう。あんまりあいつをやきもきさせないように頼むよ」

「大丈夫よ、多津お姉さまは、雲井先生を完全にキャッチしてらつしやるわ。そりや見事よ、実にやんわりとですもの」

「おい、おい、君に、そんなことがわかるのかい? 驚いたね、やんわりと、か……」

京野等志は、ほんとに唖然として、溜息まじりにうそぶいた。

その晩は、真喜が神妙に膳ごしらえをしているかと思うと、多津は、夕食の時間に帰つて来なかつた。

「姉さんは、はつきり帰らないなら帰らないつて言つてけばいいのに、いつも、あいまいなことばかり言つてるから、きらいさ。