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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

別に無愛想になるわけでもないが、むしろ、わざとらしく、投げやりな調子をみせ、不必要に馴れ馴れしい口を利くのである。

そういうある日のことであつた。彼女は、いつものように、昼の食事を女中に運ばせておき、食後のメロンを自分で持つて来て、そのまゝそこに坐り込み、

「ご退屈でしよう。ほんとに……。ちよつと電話するぐらいなんでもないのに、すぐ無精するんですものねえ……」

と、すこしはだけたセルの襟を、軽くおさえるような手つきで、彼を見あげた。

「結構、自分で時間つぶしをしています。たゞ、こいつを商売として考えると、妙な気がする時がありますよ。不労所得つていうのは、まさにこれかと思うんですがね」

と、彼も、相手に通じるような話にもつていこうとすると、

「それや、そういうことも、たまにあつていゝと思うわ。あたしたち、商売に出てた頃、やつぱり、お座敷以外に、お客さまの懐で、勝手に遊びに行くことあるんですもの」

すこし、それとはわけが違うと思つたけれども、彼は、すまして、

「失礼ですが、商売に出ていらしつたつていうのは、どこですか?」

「あたし? はじめは赤坂、それから、ずつと新橋……つい最近までよ」