轻松读懂日语经典作品
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页
深い山ひだをぬつて、佐久の平野を南へ貫いている千曲川の流れが、青空の光を吸つて、霧のなかに消えている。
汽笛がかすかに響く。玩具のような上り列車が、いま小諸の駅へすべり込んだ。小萩の心は、いらだたしく東京へ飛び、急にはどこと方角もつかぬ都の街々をさ迷つた。彼女は、今夜にでも、あの汽車で東京へ行つてしまおうかと思つた。
と、ちようどその時、療養所の方から、松林の中を、このへんで見なれぬ恰好の男が一人、ふらふらこつちへ歩いて来るのがみえ、近づくにつれて、それが、まさしく京野等志だということがわかると、小萩は、カッと胸の熱くなるような思いで、伸びあがるように、われを忘れて、手を高く振つてみせた。
「どうなすつたの……」
と、彼女は、まだ表情もかえぬ相手に叫びかけた。が、その声は、たゞ、あたりの静けさを破つて、遠いこだまとなるばかりであつた。
「どうして、わざわざ出てらしつたの?」
彼女は、こんどは、もどかしそうに、走り寄つた。
「出て来る方が早いと思つたからです。もう、そんなにいゝんですか?」
うしろに黙つて立つている少女にも気をくばりながら、京野等志は、見ちがえるほど生きいきとした小萩の顔を珍しそうに打ち眺めた。