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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

彼がそう言い終るか終らぬうちに、

「京野一家なんぞどうなつたつていゝわ。あたしは、はつきり言うと、母さんだけは気の毒だと思うの。将来、もし母さんが一人つきりになつたら、あたし、母さんを養つてもいゝわ。それまでは、この家へは、絶対に寄りつかないわ」

と、真喜は、宣言した。

十二時が鳴つた。多津はとうとう、その晩は戻つて来なかつた。

京野等志は、小萩のことで頭がいつぱいのところへ、急にまた、一家の問題が手のつけようもなく眼の前に繰りひろげられ、しばらく唖然とするよりほかなかつた。床にははいつたものゝ、あれこれと思い悩むばかりで、なにひとつ、解決のいとぐちを見出すことはできず、冴えかえる瞼をじつと天井に向けて、夜の明けるのを待つた。

翌日、彼は、父と二人きりになつた時、父に向つて、すこし改まつた調子で言つた。

「お父さん、僕は京野家の長男として、自分が今、おかれている地位というものを考えるんですが、どうでしよう、いつたい、われわれ現在の家族が、こうして同じ屋根の下で生活する意味は、もうないんじやないでしようか。もちろん、自然崩壊の現象はとつくに始まつていますが、こゝは、ひとつ、お父さんから、はつきり、一家解体の声明をなすつたらどうかと思うんです。