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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

こちはな、京野君、村の旧家で、名望サクサクたる大地主、もつとも今じや土地の方はわしんとこといくらも変りはねえが、とにかく名望だけは保つてござる長久保家の本家の当主だ」

二人は、いずれもこの紹介には少し辟易のていで苦笑を交わした。

が、すぐそのあとで、その長久保某は、百瀬秀人の耳に小声で囁いた。

「うん、そうか、それに違いねえ」

と、百瀬は頓狂に叫んだ――

「おい、京野、おめえのことをわしはいつかこのひとの家で話したことがあるだ。このひとの細君がよ、すると驚いてさ、京野等志つていうひとなら、東京で知合いだつたつていうじやねえか。細君は、元の姓は、なんだつけ……」

「味岡……」

と、長久保は言つた。

「うむ、味岡、小萩さつていうだ」

「ご存じかね?」

長久保は、やつと親しみを見せて、たずねた。

「えゝ、味岡小萩さんなら、僕、知つています。あなたの、それが、今、奥さんですか。へえ、そういえば、ずいぶん昔のことですよ、偶然、僕が家庭教師に行つてる家と、味岡さんのお宅とが、つい近所だつたもんですから……」

なにをどこまでも言うつもりなのか、京野等志は、こゝまでついぺらぺらと言つて、急に口をつぐんだ。