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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

一日を、一生涯にしてもおんなじことです。小萩さんとは、まつたく、最初から偶然ばかりでつながつているようなもんですから……」

京野等志は、おそらくこういう場合誰でもがもちそうな疑惑と不安とをかき消すつもりで、ひと息に、こうしやべりまくつた。

が、その時、襖がしずかに開いて、盆を手にさげた小萩が、やゝ伏眼がちに、それでも口元に微笑をたゝえながら、はいつて来た。

「どうです、やつぱり、うそじやありませんでしたね。この通り、京野等志、無事に生きていました。お変りありませんか?」

と、彼は、いくぶんわざとらしく、膝を組みなおした。

「ほんとに、夢みたいですわ。でも、お元気そうで……ちつとも、お変りにならないのね。百瀬さんから、それや、伺つてはいましたけれど、こうしてお眼にかゝるまでは、なんですか、ぴんと来ないみたいで……」

小萩は、夫宇治の後わきに、きちんと坐り、小さな両手を膝の上で組み合わせながら、すこしからだを斜にして、口籠るように言つた。

老けたというよりも、やつれた感じがどことなく見え、ことに、白粉ッ気ひとつない顔が以前よりも表情をむき出しにしていた。