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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

あるからだ。ありがたくない家のおかげで、今どき世間に通用しない悩みを悩んでいるという恰好になる。

彼には、食うのに困るためにわざわざ家を出るという酔狂を敢てする気もなかつた。彼は、平凡に、しかし、多少虚勢を張つて、父の憲之に相談をもちかけた。

「ぼつぼつ、なにかしようつと思つて、いろいろ考えてみたんですが、時節柄、思うような仕事がないんです。いつかお話があつた、お父さんの会社に適当な席はありませんか」

「そうか、そういう気になつたか。ないこともないよ。しかし、言つとくけれど、会社というほどのもんじやない。社員といえば重役をふくめて十人足らずだ。職工は二つの工場を合せれば、あれで、五、六十人もいるか」

「お父さんは、その会社の、なんです?」

「うむ、わしは、まあ、常務の一人になつとるんだが、主に熊谷の工場の責任者を兼ねているわけだ」

「本社はどこです?」

「本社といつても別にビルディングがあるわけじやない。仲間の一人を社長ということにして、そいつの私宅を事務所に使つてるんだ。そうさな、お前が来るというなら、熊谷の工場の監督でもやつてもらうかな。ちようど、そういう人間がほしいところなんだ」