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ちからもち
力餅
島崎 藤村
「力餅」研究社、1940(昭和15)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 65,974 字 · 130 页
」
鳴けば鳴くほどかわずの声はすずしくなって行きました。そして、これまであの鳥なかまから声の出し方を見習おうとしたことも、自分にふにあいな物まねも、まんざらむだなほねおりでもなかったと思うようになりました。このかわずが雑木林のすそのまわりを流れている小川のところまで飛んで行ってみますと、そこに泣いている一ぴきの青がえるがありました。
「おや、お前さんはどうしましたか。どうしてそんなところに泣いてるんですか。」
とこちらからかわずが尋ねました。
聞いてみると、その青がえるは親の言うことを聞かないで、親が川へ埋めてくれろと言えば山と言うし、山へ葬けてくれろと言えば川と言ったそうな。そんな親不孝なやつですけれど、親が死んだ時は、親の言うとおり山へ葬けてやりました。それで、雨でも降りそうになると、親の墓が流れる流れるって泣いているんだそうです。
この青がえるの話に、尋ねたほうのかわずもかわいそうになりまして、いっしょに歌の一つもうたおうではないかと言いはげましました。それから二ひきのかわずがいっしょに声をそろえて鳴きだしましたら、それまで低い小さな声しか出せなかったかわずなかままでがわれもわれもと声を合わせます。