轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
「日光」1948(昭和23)年9月~1949(昭和24)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 页
「もう帰ったんだね。その駕籠かきたちは」
「ええ、帰りました」
「つい今しがた?」
「そうですの」
「――誰をのせて」
「お奉行所の御用がすんだので、楽翁さまをお乗せしてです」
「はて。どこから乗ったのかなあ」
「うちの前からです」
「うそをいってはいかぬ。ははあ、お次さん……口止めされたな」
見つめられると、お次は突然、ぽろぽろと、涙を見せた。
「左右太さま。なんで私が、あなたに、嘘をいいましょう。……私を……左右太さまは、まだ、そんな女だと、思っていらっしゃるんでしょう」
「あ。どうしたことだ。それッぱかしのことにもう泣くなんて。……失言は取消す。疑って悪かった、じゃあ、おれの想像が、ちと違ったとみえる」
「どうして、そんなことを、お訊きになるんですか。あなたも、ほんとをいって下さいよ」
「大きにそうだった。そなたが左右太を信じてくれるのに、おれが真実をいわぬ法はない。実は、今夜、こういう事があったのだ」
奉行所以外の者で、先頃からの事件を、ほのかにでも知っている者は、市川楽翁と、かの女あるのみである。また同僚二人も、そのことは、諒解の上だ。打ち明けて、さしつかえない。