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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
懐中電灯の光は、その顔を、スッと、かすめて、むこうへ、遠ざかっていきました。
そして、二人の守衛の姿が、階段のほうへ、消えていったかとおもうと、へんなことがおこりました。
いまの人形が、かすかに身うごきをしたのです。遠くに小さな電灯が、ついているだけで、あたりは、うすぐらいのですが、たしかに人形は、動いたようです。
それから、もっと、みょうなことが、始まったのです。人形の手が、そっと上のほうへ、あがっていって、目のへんを、なでました。すると、人形の目がパッチリ、開いたではありませんか。目のところだけが、ふたのように開くしかけになっているらしいのです。
その開いた、二つのあなから、のぞいているのは、生きた人間の目でした。パチパチと、まばたきをして、目の玉が、キョロキョロと、動くのです。
人形のからだが、フラフラと、ゆれたかとおもうと、足を高く上げて、そのちん列場の、ひくいかこいを、またぎこし、そのまま、通路を歩いていくではありませんか。
人形が歩くのです。
やがて、人形は、階段を上り始めました。うすぐらい階段を、まるでむ遊病者のように、のぼっていくのです。