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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
しかしここには何者かが、住んでいるという感じがします。人間だか、人間でない動物だかわかりませんが、なにかがいるにちがいないと思われました。
小林、山村の二少年は、ポーチのよこの、やぶれたかきねから、うら庭のほうへしのびこんでいきました。そして、建物を、よこから、ながめたのですが、やっぱり、どの窓もしまったままで、人のけはいはありません。そのくせ、このうすぐらい建物の中には、なにものかが、うごめいているという感じが、だんだん、つよくなってくるのです。
ふたりは、あれはてた庭の木のしげみにうずくまって、目のまえの建物を、じっと見つめていました。空はまだ、あかるいのですが、庭は、ほとんど、くらくなり、大きな建物が、黒い怪物のように、そびえているのです。
そのとき、ふたりは、ギョッとして、きき耳をたてました。とつぜん、家の中から、人の声がひびいてきたからです。
「たすけてえ……、だれかきてえ……」
二階の窓から、白いものが、のぞきました。人の顔です。それも、小さいこどもの顔のようです。
「あっ、女の子だっ」
小林君が思わず声をたてました。
それは野村みち子ちゃんだったのです。