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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
そのかたがわに、まっくろにすみがぬってあります。そして、まんなかに直径一センチぐらいの、小さな穴があいているのです。
「それなんです?」
山村君が、ふしぎそうな顔をして、たずねました。
「これは、のぞき板っていうんだよ。七つ道具には、はいっていないけれども、夜の探偵には、役にたつときがある。ぼくが発明したんだ」
「どうやって使うの?」
「いまにわかるから、見ててごらん。ほうら、一階のまどにあかりがついた。外はすっかり夜だからね」
小林君は、そういいながら、あかるくなった窓のほうへちかづいていきました。見つかっては、たいへんですから、五、六メートルへだたったところから、中をのぞいてみますと、そこはげんかんのホールというような、ひろいへやで、てすりのついた階段が見えています。
「ここがいい、いまに、だれか、あの階段をおりてくるかもしれないからね」
小林君はそうささやいて、のぞき板のボール紙を、黒いほうをむこうにむけて、顔にあてました。すると、顔はすっかりかくれてしまいます。そして、あの小さな穴に目をくっつけて、むこうを見るのです。
「きみは、とおくにいたまえ。ぼくひとりで、のぞくからね」