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かいじんとしょうねんたんてい

怪人と少年探偵

江戸川 乱歩

「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页

青空文庫

はやく、とってくれ」

怪人は、ぴったりと、顔にくっついた、ビニールのお面をかぶっていたのです。怪人の顔が、いつも、人形のように見えたのは、そのためでした。

お面とわかれば、とれといわれなくても、とって、すがおを見なければなりません。

中村警部は、ころがっている怪人の上に、かがみこんで、ビニールのお面を、かわをむくように、とりさりました。

「あっ、きみは……」

警部が、びっくりして、さけんだのです。

お面の下から、あらわれたのは、警部がつれてきた、部下のおまわりさんの顔だったからです。

「わたしです。まんまとしてやられました。さっきから、あれほど、どなっているのに、だれもきいてくれないものだから……」お面をはがれたおまわりさんが、ざんねんそうにいうのです。

中村警部には、すぐに、事のしだいが、わかりました。

怪人はこの警官を、地下道の小べやに、ひっぱりこんで、じぶんの服を着せ、お面をかぶせ、じぶんは警官の服を着て、とっくみあいながら、「怪人をつかまえた」といって、みんなを、よんだのです。そしてみんなが、怪人の服とお面をつけた警官に、とびかかっているすきに、その場をにげだしてしまったのです。