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かいじんとしょうねんたんてい

怪人と少年探偵

江戸川 乱歩

「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页

青空文庫

「きみは変装の名人だ。小林君に聞くと、葬儀車の中で変装したそうだが、それを聞いていなければ、ぼくでもだまされるところだったよ。それほど中村警部にそっくりなんだ。

じつにうまい変装だ。こんなに変装のうまいやつは、日本にふたりといないはずだ。しかも、そいつは、おもちゃのピストルをつかった。血を見るのがきらいなんだ。どんなわるいことでもするが、人ごろしだけは、ぜったいにしないという大どろぼう。それもめずらしいね。おそらく、日本にただひとりかもしれない。

ハハハ……、こんどは人形怪人とおいでなすったね。とほうもないことを考え、世間をびっくりさせて、よろこんでいる。そんなすいきょうなどろぼうは、ほかにいないよ。ねえ、二十面相君」

それを聞くと、へやの中は、シーンとしずまりかえってしまいました。野村さんも、小林少年もあっけにとられて、身うごきもせず、明智探偵の顔を、見つめているのです。

ああ、怪人二十面相、名探偵明智小五郎の好敵手、怪人二十面相。人形怪人が、あの二十面相だったとは。そのとき、シーンとしずまりかえったへやの中に、わらいごえが、ひびきわたりました。