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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

でも、一方から云えば、名できまるのではないのですが。

けさ、周子さんという山崎の娘さんからハガキ来ました。今月は迚も一杯だから来月の日をきめましょう。

さっき一寸出た家の話。私はなかなか名案のつもりでしたし、やはり名案だとは思います。しかし、仰云るようなひとなかなかないでしょう? 日本の一般では、そういう女のひとが一定の資力をもっているということは極くまれです。大抵親のところへまとまって暮します。さもない人は、条件の切迫しているのを、いくらかましにしたいという計画しかもたないでしょう。私は、いろいろおちついて考えて、この前と全体の条件のちがうことをよく計量して、感情的に処さない決心です。ですから、この前は売り払うものを払って、通りぬけたのですが、これからはそれはききませんから、この前の前の手紙に書いた最低の安定力学は重大です。いろいろ計算すると、家を半分ずつにして使うにしろ、まとめてお送りしている位はミニマムね。それに六倍したものもミニマムです。それだけが流れ入る河筋について研究をこらす必要があります。本の平均の印税として換算すると、(『明日へ』