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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

丁度、光多がなくなったという栄さんの電話で、出かけようとして郵便箱のぞいたら(午後三時ごろ)来ていて、それをフロしきにつつんで出かけて、ちょっと隅で封を切って走りよみいたしました、うちへかえるのが待ちきれなかったので。

久しぶり久しぶり、ねお手紙は。おKちゃんのことは全く悄気てしまった、佐藤さんからきいて。去年の初め来る前とった写真にも空洞は出ているのですって、もう。それだのに、あの兄先生ったら、それを私に見せて、肺門のところのかげをさしたのよ、それは血管のかげですって。別のところに空洞があり、この間のではいくつも出来ていて、つまりもう治癒することは非常に永くかかる状態になっていて、キンもぞろぞろでしたって。一年そういう人といたのよ、お察し下さい、別の桶で茶わんも洗わず。私は病気そのものには何の偏見もないから、ちゃんと別に洗うものは別にとさえ出来ていたらいいのに。そんな先生が、一つの村で結核の集団検診をした報告を本にしたりして時流にのっているのは、殆ど非人道的ね。実の妹をそういう扱いでおきながら。

村山の先生もふんがいしていた由。佐藤さんだっておこっています、赤坊をつれて来ていたし、赤坊をだいたし。