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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
変に大きい家ってああなるのでしょうか。林町でもはた目にはああだったのでしょうか、もっと間が抜けていたと思うけれど。余りとり乱しすぎない空気も変ね、こっちが心を動しているのが感じられるなんて、変ね。
うちの若いお客さんがたも家さがしが大変ですが、何しろこれ迄一度も貸家さがしはしたことがないというお人たちですから、さがすということがどんなことかのみこめないらしいわ。じきくたりとしてしまって。マア、うまく二人でやってゆけるようにと希います。旦那さんの方がとても持ちにくいたちだが、おくさんはまだそこがよくわかっていなくて、私はいくらか気の毒よ。全く結婚て不思議ね。お嫁に来るということの不思議さ。ねえ、見合結婚だからこそ結婚出来るということなかなかあるのねえ。音楽なんか分らない人の方がいいと云う条件でしたって。東京の女なんかいやだというのですって。でもこの浩子さんというひとは、貸家さがしを知らないということでは都会人でないかもしれないが、すべて都会風でちっとも田舎めいてなんぞいないわ。いろいろのことが一目で比較される、そういう面での東京女は手に負えないというわけでしょう。