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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
二十六日朝は二十七日朝で。
二十五日へのから先へ。しかし、それよりもっと先にお話ししたいのは、きのう、雨の中を原宿の方へ浩子さんとアパート見に行きました。新聞の広告を見てね、浩子さんがひとりで行って見て六本木の方への出場はいいし、あたりはいいしするけれど、何しろ四・半で二十九円五十銭、六畳では三十七円(!)というので決心しかねているの。この頃のはこういうのよ、ひどいでしょう? 原宿から右の方へ行って、河に沿ったところですというの。その川には私心覚えがあるようで珍しかったので、それもあってじゃ一緒に見てあげましょう、と又出かけました。丁度あの並木のきれいな参宮道からちょいと右へ入ったところの細かい長屋の間に建っているアパートです。河というのは、この辺では両側がコンクリートの崖になっていて、丁度下落合あたりの川のよう。六畳は東南と二方に窓、その川を見下すの。四半は、西向で、めの前に黒くぬったトタン屋根が二重三重にあって、そこへ西日がさしたら、小さな四角い室は熱の反射箱のようになってしまう工合です。だから空いていたのねえ。きっとこの間九十二度という日(この二十五日でした)その暑気でにげ出したのね、来てくれてよかったと大よろこびでした。