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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

一段一段と階段がつづくということ、私たちはどうしたってその段々に足をおかなければのぼりも下りも出来ないと思いきめなくて、何だか俺の足に合う間の段々を出せ、だの、大体こう一段一段とあるのがつまらないとか云っているのね。それで苦しい思いもして、主観的なその苦しさのつよさによって、我から気やすめもしている傾がなくはないのね。自然主義の文芸思潮からの成長ということはこれ迄考えられていたよりも更に更に重大な、そしてまだ未解決未達成な文学上の課題ですね。世界文学として云えるのだわ、このことが。

自然主義の時代から、溢れ出し、或はころがり出した、が、本当の次代のものにはなかなかゆきついていないと思います。そのことがもっと実感されていいのね。よくこの点がはっきりすれば、ころがり出した勢で、うしろの方へころげこんで、本質は自然主義以前というようなホラ穴へころがりこむわけもないのだけれど。

いろいろ考えます、一九一四年の経験で、フランスの作家なんか伝統の中にあるカソリックの精神へ随分すがりついて身をもたしたでしょう? ジイドなんか筆頭です。イギリスの作家は、過去のものの崩壊を誇張することで身をもたした、ローレンス、ジョイスその他。