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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

そしたら急に河村さんと同心せて、ということになって、そのために達ちゃんあっせんしてやって、つまりは福屋にいたのですって。何だか気の毒でした。でもそれでいいのかもしれないわ。達ちゃんは輝の着物を買ってやって友ちゃんもって来ました。これが好きと云ったというその布には、まるで輝のような顔の人形がついているの。

よかった、すっかりそろえて行ってよかった、と友ちゃん安心していました。河村さんは会えないから顔つきが夫婦ともかわっていました。

輝は、二日うんちをしなかったので、ゆうべは、おかあさんがルスリンかんちょうをして、うんちを出して、ねかせました。

お母さんにけさのあなたのお手紙をよんでおきかせしました。ほんにのうと云っていらしたけれど、血圧を計ることは笑っていらしたわ。本当にお気丈で、けさも六時から自動車の運転手が来たのに応待してやっていらっしゃいます。

友ちゃんもすこしやつれているが元気にしています。お姉さんの文ちゃんというのもまだいます。手伝に来ていたフジヤマのばあさんはきょうどろ落しでかえります(この表現覚えていらっしゃる? 苗をうえ終って、お百姓の骨休め)。