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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

私は、やっとこの二三日すこし落付いて、体の調子もよくなって来ました。今年の夏は、しかし不順ねえ。腸が変で薬のんでいたとき、あっちこっち同じような苦情でした。おなかは大丈夫でいらっしゃるかしら。ベリンスキー読んで居ります。「一八四六年の文学観」はなかなか面白いし、有益であるし、近頃愛読のものです。(だが、やはり著者の生きた時代の到達点というものを考えさせる限度をもちつつ。)

あら、又石粉が欲しいひとが来ました。今度は売れないわ、だって四十キロは一円十銭ですが、何合というようなのは分らないもの。今は何をつくのだろう、表をついたりするのに入れるのだそうですが。この間うちはらんきょうと梅をつけるのに塩が繁昌したし。らっきょうをらんきょうというのね。

私のかえるのは、勿論いろいろの事情とてらし合わせていたしますから御安心下さい。

ところで、きょう、ユリの左腕は惨たる有様なのよ、あわれ玉の(腕に非ず)かいなも虫にくわれて、赤ブツブツで、丁度この間の輝坊のようです。ノミは少いので、よろこんで御報告いたしましたが、ここにも今年は家ダニがいます。全国的なのかしら。