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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

初め編成されたとき石津という、この前中隊長だった人が又中隊長で、ああ宮本か、とすぐ万端計らってくれて、すべて大変手まわしよく出来たのだそうです。そのほか、知っている人が何人かあって、便利している由。二度目もわるいことばかりはないものでありますのう、と云っていらっしゃいました。私は日曜日に行って見ます、そしてその上でもし出立の見とおしもないならば(編成が変えられましたから)火曜日ごろ出発しとうございます。

二十四日づけのお手紙(きょう二十六日着)輝のこと、音読してかあさんとおばあちゃんにおきかせしました。本当におじちゃんの輝びいきどうでしょう。

本棚は、小さい本箱が(二本立て)一つあるのよ、古風なの。覚えていらっしゃらないかしら。しかし新しいのは勿論私たちがこしらえましょう、島田市のさしもの屋にでも云いつけてゆきましょう。この間出来合ではなかったのよ、適当のが。高いばかりで。達ちゃん食事等なかなか厳格にやられているらしいから大丈夫でしょう。ところがきをお知らせいたしましょうね。

七月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 己斐より(縮景園浅野泉邸の写真絵はがき)〕