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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
二日に立つ予定でしたが、或は一日に立ちます。カンヅメをすこしもってかえります。こっちにいて呑気すぎた様子で、些か困ります、あなたが云っていらしたように、本当にそうだったわ式では、これは困りますから。五日に林町で皆立ち、それ迄にいろいろのうち合わせがあります。年を越す用意してゆくらしいから。それもいいでしょう。こちらも私はかえりますでは相すまないから、何かのときどこへ子供をつれてゆくか、どんな準備がいるか、ということなど、すっかりとりきめてかえります。何しろ光のとなり徳山のつづきで、駅近く、ちっとも保障のない位置ですから。何もないときでも心がけはたしなみですから。そんなことかまわずかえったりしたら、あなたが、じゃもう一度行って来いとおっしゃるかもしれないと云って笑ったの。そうでしょう? 段々旅行が厄介になって来つつありますから。不定期は一つもなくなりました。食堂、寝台も減少しました。広島宮島間は汽車のよろい戸を皆おろします。めくら列車が真昼間走ってゆくのを己斐の駅で見て、何かすさまじさを感じました。走ってゆく、感じがね。
手帖出してみたところ一日に立てば二日(土)につくのね、駅から真直ゆけば十一時前にはつけるのね、二日に立つと四日(月)ね。