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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
朝おきについて、皆で笑ってしまったわ、ホーラね、こっちへ来ればきっと出ると思った、と云って。大して悪い成績でもありません。けれども目白のようにはいかないときもあります。北の四畳へ籠城ときめてからはピアノも大して邪魔にならず、昼間落付くからもう安全になりました。なかなかいろいろよ。一日中殆どピアノがきこえるのですからね。あっちこっち工夫して、つまるところ一番せまくるしい、寒いところへ昼間はとじこもりにきめました。こちらだと左側から平らな光線が来て目も楽なの。南向でも大きい木や何かが邪魔してくらくて。夜は南の方へ引越すの。
冬の詩集の話、本当にそうでしょう? アイスランドのことは面白いと思います。アイスランドにそんな暖いお湯のあふれるところがあるなんて、何となし思い及ばないことね。そして外面の事情のつめたさだけ零下〇度ではかっているというのは何と興味があるでしょう。自然とは豊富なものね。すべて自然なもの、自然さをけがされていないものは、同じようなゆたかさをもっているのね。アイスランドの暮しはアンデルセン風のものがこもってさえいるようではありませんか。