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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
「おめでとうございます」凄いでしょう? 見ると、二人は胸に赤っぽい菊の花を飾っているのよ。ほかにおしゃれのしようがないからですって。
やがて、真赤なズボンをはいた泰子がああちゃんにだっこされながらケトケト笑って(これは偶然です、残念ながら。やす子にはおめでたいのが分らなくてね)あらわれて、そのああちゃんは青いような縞のきれいな外出着で、やっぱり髪に花つけているのよ。寿江子のものぐさが夕飯に着物着かえて現れたという、全く驚天動地の盛会でした。
こんな盛況があろうとお思いになって? 一人一人敷居のところで今晩は、ととても気どった声を出して入って来るのよ。見せてあげたい姿でした。御覧になったら、あなたはきっと、むせておしまいになったでしょう。余り素晴らしいから。
ゆっくり御飯すまして、国男さんが、かけ時計の高さを直してくれて、それから一寸三人で(咲と)一仕事やって熟睡いたしました。
きょう、太郎をつれて国と三人で国府津へゆこうということになって、国は植木屋の用事、私はすこし片づけもの(この間から私たちの話に出ていた)をして来ようと思ってあらまし仕度したら、この天気でおながれよ。