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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
魯迅全集は七巻あって、短い感想が非常にどっさりです。なかに、夫人へかいた手紙が集められているのがあります。なかなか辛苦した夫婦でありました。その手紙は、初めの部分はみんな広平兄という宛名です。コーヘイケイとよみたいでしょう。男のようでしょう? ところが女士あてなの。兄という字を自分は友人や後輩などにつけるので、よびずてよりはすこしましという位の意味だからと説明して居ります。許女史は、初め先生とも思うひとに兄とかかれて、びっくりしておどろいたらしいのよ。そしてきっと、どうして私にそんな兄という字がつけられるのでしょう! というようなこと書いてやったらしいのね。そこで魯迅はびっくりしないでよろしい、と説明しているわけです。ずっと後になって、妻になってからのにはH・M・Dという宛名です。このひとは女子大学に働いていてね、そこでなかなかよくやって、一部から害馬という名をつけられたのです。そこでHMなのですって。Dは何でしょう、英語の出来た人たちですから推察も出来るようです。小鬼はあせったり気をせいたりしてはいけません。というようなこともかかれていて。小鬼とは許さんが自分で呼んだ名なのでしょうね。