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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
私たちのこんな時期が、計らぬ面でそんな発見を伴って営まれるということは、大なる仕合わせと云ってよいでしょうと思います。そして、一層、一生懸命になるべきところに力を注ぎ、ゆたかに成長することができたらば、ね。私たちの日常のなかに子供たちの声だの、その成長だの、おかみさんのあれこれパタパタだの、そんないろんな響が入っているのはいいわね。「朝の風」はこわい小説よ。忘られないところがあります。ああいう風な感情の集注はこわいと自分であのとき痛感して、「その年」ではああいう風に、ひとの生活へ外の世界へと目をむけたわけでした。この何年間かの生活で、私たちの生活の感情の絃の一本は、あの作品でその最頂点を顫わしているのよ、悪条件的に。あの作品について云って下すったいろいろの点はその理論的把握でした。
生活の展開というものは何とおどろくべきでしょう。生活全体で展開してゆくのですものね。決して生活のどの一筋だけをとりあげてどうと云ってかわってゆかないものであるから油断がならないわけです。
今度の文芸同人雑誌の統制で八種だけがのこりました。八十何種かのうち。日本全国では二百何種とかという話ですが、八十何種は東京だけでしょう。