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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
火鉢の炭をつぎ足していて、あら、とおどろきました。どうして十日にそちらへ行かないなんて法があるでしょう。十日の晩に、あなたは新聞をまるめ、こうやって火をおこすの知ってるかい? とおっしゃったのだわ。どうして十日に、うちにいる法があるでしょう!
つづきは九日の夜。
そして、面白いわねえ。ブッテルブロードのときは、あんなにはっきりしていたユリが、火起しのときは、まるで子供らしくなっていて、困ったとわかる迄困ったの、つい忘れていたりしたこと。何と笑えて、たのしいでしょう。このことの中には大した大した宝がひそんでいたわけだったのだと思います。だって、もし非常に親密な、非常に全体的な信頼で心がいっぱいになっているのでなければ、そんなことは寧ろおこらなかったのですものね。そういう極めて全体的なゆるがないものが、自覚されるより深い本然なところに在ったことが、火起しの物語をひきおこし同時に、今日をもたらしているのですもの。天才的に更に多くのものが具体的な内容としてもたらされてはいるのだけれども。
ああ、あなたにとっても益※(二の字点、1-2-22)面白い小説を次々と書きたいと思います。