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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
雪のゆたかさは面白いことねえ。
さて、二十八日のお手紙を一昨日、六日のを七日頂きました。二十八日のお手紙は年の末にふさわしく「よくも飽かずと思っているくらいなら」という希望が語られていて、私も、リフレインは余りおさせしまいと思います。でも、決しておさせ申しませんなんかとは云わないでおくのよ。何故なら、余りきれいな挨拶をしすぎては、家庭的でありませんから。ホラ又と云われるのも、云うのもわるくないところもあると思うの、勿論意義を軽く見てのわけではなくよ。更に、そのようにやろうと思わないしというのとは全く反対ですが。私は今年は勉強するのですから。仕事の質を深めてゆくのは勉強以外にナシ。このこといよいよ明白ナリと思っているのだから。ほんとの勉強のない作家はテムペラメントでだけ平たく横に動きがちです。明るさ、について実に深い教訓を与えられましたから。自然の気質の明るさなんか歴史の複雑な襞の前には、わるく行けばその日ぐらしの鼻唄となり、よく行って、せいぜい、落胆しない程度にそのものを保つだけで、決して真の人類史の明るさと一致した明るさは保てないことが実にまざまざとしたから。